読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

蛍光ペンの交差点[別館]

"どの点に関心をもつべきか ―をわれわれが学びとるのは,もっぱら仮説からだけである"

原理、分類、思考

原理に基いて思考するとはどういうことかを試してみたくなった。

 

「消費者は最安の商品を買う」という原理があったとする。
まず第一に大事なのは、この原理に限らず多くの原理は集合名(集合setの名前)であって、中身がいくつ入っているかが大事だ、ということだ。

 

消費者は最安の商品を買う =
 {消費者は最安のペットボトルお茶を買う、
  消費者は最安の区間で定期券を買う、
  消費者は同一商品なら最安で提示されたものを買う、… }

 

勘の良い人なら気づいたかもしれない。
上で集合に入れてみた中身は、実は一つ残らず誤っている。

集合とは、ものについて「入っているか」「入っていないか」という2値の情報だけを付与する数学的構造だ。だから適切ではないものが入っていることは、深刻な誤りだと言える。

 

何が誤っているのか?

 

たとえば、僕はペットボトルのお茶だと普段は最安のものを買うが、綾鷹があった場合はこの限りでない。味が好きなのだ。ランダムに選んでお茶を買うことを繰り返していたら、いつの間にか綾鷹とそれ以外にだけは優劣が付いた。だから僕を「消費者」とした場合、正しい言語表現は「消費者は綾鷹が存在しなければ、最安のペットボトルお茶を買う」となる。

 

定期券区間も、例えば少し割高な区間によく使うターミナル駅(池袋など)が入っていたら、そちらを選ぶ消費者は一定数居るだろう。だからこちらの言語表現は「消費者は途中駅に興味がなければ、最安の区間で定期券を買う」のほうが適切だ。

 

仮に商品が完全に同質であったとしても気を緩めてはならない。例えば価格コムで最安の商品を見つけたとしても、それが充電器など発火の恐れのある商品で、出品者の身元が不確かならばあえて2番目、あるいは正規代理店から注文するという注意深い消費者も居るだろう。そうなると修正案は「消費者は同一商品かつ同質の出品者なら最安で提示されたものを買う」となる。

 

以上の思考プロセスを経ると、

消費者は最安の商品を買う =
 {消費者は最安のペットボトルお茶を買う、
  消費者は最安の区間で定期券を買う、
  消費者は同一商品なら最安で提示されたものを買う、… }

 

という理解は、

消費者は最安の商品を買う =
 {消費者は綾鷹が存在しなければ、最安のペットボトルお茶を買う
  消費者は途中駅に興味がなければ、最安の区間で定期券を買う
  消費者は同一商品かつ同質の出品者なら最安で提示されたものを買う、… }

 

 

とより詳細に出来る。実際にはペットボトルお茶の「消費者」だけが一般の消費者ではなくて僕だけを指しており、同一の名詞が指すものが違うという問題もある。綾鷹をより抽象化すれば直せるだろう。

 

何なら要素ひとつひとつに留保を付けるのは冗長だ。もっと一般化して集合名自体を改善してしまったほうが得策ではないか。

 

消費者は価格以外に差異を感じられないならば、最安の商品を買う =
 {消費者は最安のペットボトルお茶を買う、
  消費者は最安の区間で定期券を買う、
  消費者は同一商品なら最安で提示されたものを買う、… }

 

つまるところ「コモディティ」の話をしていたのだと明確になる。

 

 

さて、そうなると

  • 消費者は価格以外に差異を感じられないならば、最安の商品を買う
  • 消費者は価格以外に差異を感じられるならば、最安以外の商品でも買う


この2つの集合を用意すれば、すべての購買活動は分類できるのだろうか?

いや、「購入しない」が分類が抜けている。そして購入しない以外にも可能性があることを恐れて、その集合に「その他」と名付けることにする。

 

  • 消費者は価格以外に差異を感じられないならば、最安の商品を買う
    = {食料品、定期券、家電、…}
  • 消費者は価格以外に差異を感じられるならば、最安以外の商品でも買う
    = {高級車、ブランドバッグ、椅子、ベッド、スマートフォン、スーツ…}
  • その他 = { そもそも購入しない、 ... }

しかし、買う/買わない以外に選択肢があるとは思えないので、もう少し形式を整える。

  • 消費者は価格以外に差異を感じられないならば、最安の商品を買う
    = {食料品、定期券、家電、…}
  • 消費者は価格以外に差異を感じられるならば、最安以外の商品でも買う
    = {高級車、ブランドバッグ、椅子、ベッド、スマートフォン、スーツ…}
  • そもそも購入しない = {既に所有している、そもそも消費者がいない、…}
  • その他 = {  }

その他を空集合にして、購入見送りを独立させた。上記の4つの集合に共通部分がなければ、MECEと呼ばれるものの成立だろう。共通部分があれば、多クラス分類問題を機械なしで解いていることになるだろう。

 

 では、本当に解きたい問題を下に書いて終わろう。

 

演習問題1.
次の集合に正しく所属すると考えられるものを1つ挙げよ。
その際、関連する別の集合から考えていっても構わない。
その場合は部分点を付与することがあるため、答案用紙にメモを書きつけておくこと。

賛成する人がほとんどいない、大切な真実 = { ? }