蛍光ペンの交差点

"科学と技術に支えられ、夢を語る人になる"

命令で済むということ

仕事の遂行が命令で済むというのは面白い。プログラミングの話である。プログラムは事細かに指定された命令の並びであり、予期通りの結果を一度正しく生じさせたプログラムは疲れ知らずの有能な働き手となる。

同じ結果を再現といえど無論、実際は占有やら老朽化やらで、再現性あるはずの操作が前回と異なる結果をはじき出したりと、そこまであっさりと話は片付かないのだが、学び始めだとそう思い込んでしまいそうなぐらいにこの道具は強力で、使い手はややもすると夢を抱いてしまう。

過去の活用という文脈で考えてみると、例えば勉強をしていてノートをとるときに、たまに紙面構成をじっくり考えてみたくなることがある。覚えやすい記憶のかたちを選んでいるとも言えるし、未来の自分が特定の順に目を通すように「仕向け」ていると言えるかもしれない。その点でプログラミングは筆写や清書と共通の側面を持つと思う。一方で冒頭に述べた「勤勉な無給労働者を生み出す」ことはプログラミングの特殊な側面である。自分より優秀で勤勉な働き手に、自分がやりたいことを無償で委託できる。こう書くと、近代はとてつもないものを生み出したのだなとふとしみじみする。