蛍光ペンの交差点

"科学と技術に支えられ、夢を語る人になる"

絵具と砂鉄と星座:グローバル化と人との距離感

朱に交われば赤くなるという言葉があるように、人間関係は絵具のようであるとも考えられる。一度混ざってしまうとその影響を取り除くことは難しく、特に深い黒が一度入ってしまうと戻すのは不可能に近いという、不可逆的な性質を持つと考えることは何ら不思議ではない。

一方で人間関係を、磁石に引き寄せられる砂鉄のように少しの人為的な力によって完全に切り離し可能なものと考えることもできる。一度砂鉄を取り払って(取り払って、とは失礼な言葉だが)別の場所に磁石を移してしまえば、磁石の表面に僅かに残った交流の痕跡を除けばもう砂鉄たちによる影響は残っていないのかもしれない。魅力のある人の多くは、キャリアについてそういう移動をするように思える。

適切な人間関係について考えるとき、それは果たしてペトリ皿のコロニーのように互いが一箇所に密集しているから機能を果たせるのか、それとも星座のようにいくらか離れているからこそ美しくより広い夜空が見渡せるのだろうか。ネットワークのハブになるという語法からも考えられるように、他の頂点からのホップ数が重要であるのは間違いない。だけれども、新宿御苑の桜は果たして、新宿駅にあまりにも近かったら美しかっただろうか。

 

これまで出会ってきた人たちを振り返るとき、時間、空間、影響量の面から、そんなことを考えた。ブログの文体を変える実験の途中なので、オチはない。