蛍光ペンの交差点

"科学と技術に支えられ、夢を語る人になる"

2018-01-01から1年間の記事一覧

運命に告げたさよなら

生きていれば人はいろいろなものにさよならを言うだろう。 子供のころに飼っていたペット、転校していった仲のいい友人、疎遠になった文通相手、ボロボロになったお気に入りの筆箱、長年通った習い事の先生、届かなかった部活動の勝利、お世話になった地域の…

「生存の質」の危機の中で、登場人物になる個人

東京大学は、未だに世界でも有数の研究機関であるとも言えるし、数十年前は考えられなかったぐらい世俗化して堕落した娯楽機関であるとも言える。2つの現象は同時に起こっており、「東京大学」という固有名詞一つでの評判分析はほぼ不可能である。東京大学…

驚きと願いくらい、自分のものにさせてくれ

何十年と生きていく中で次第に変動が収まっていく類のものがある。 一つは信念である。私はOSINTが働くと信じているし、それを実践しながら生きたいと思っている。日々過ぎ去っていく些細な通過物として曖昧に認知しているもの同士の中には、ときに感動と興…

MP-hard (Measuring is practically hard) な問題

コンピューターサイエンスの分野には、NP-hard(エヌピー・ハード)と呼ばれる問題群が存在する。雑に言えばその問題集合に含まれる問題にはある種の困難性が付きまとい、扱う対象の数が増えるに連れてすぐにまともに計算が追いつかなくなるというものだ。宇…

最善xのなかみ:不完全情報と柔軟性、行動指針と一貫性

肯定側と否定側に分かれて第三者に互いの主張の正当性を納得させる競技ディベートにおいて、もっとも鍵となるのは周到な準備だと言われる。たとえ私たちがAという行動の良さをいくら熱弁したとしても、世界70億人に過去200年間に渡って実験した結果、Aが悪影…

東大に落ちた18歳のきみへ

やあ。落ち込んだ顔をしているね、きみ。 無理もないだろう、高校からずっと目指してきた第一志望の大学に、現役不合格というかたちで拒絶されたんだ。合格掲示板に並んでいた、君より前の受験番号たちはやけに番号の間が狭かったから、いきなり自分の番号も…

苗を植え続け、踏みつけない

「そんなことも知らないの?」とは、特に自分の専門分野や社会的に常識とされることについて問われた際、つい使ってしまいたくなる言葉だ。実際、危機感を煽ったり、火をつける目的では有効に働くこともあるのだろう。しかし、このような印象を与えたくがな…

記憶と幸せ

ブログを書くことにまつわる楽しみの一つは、読み返すことにある。自分がはじめてブログを付けたのはもう10年以上前のことになるが、人間の脳は10年も前の自分の思考過程を、その波形を変えずに保持するような仕組みを生体内には備えていない。活字はそ…

絵具と砂鉄と星座:グローバル化と人との距離感

朱に交われば赤くなるという言葉があるように、人間関係は絵具のようであるとも考えられる。一度混ざってしまうとその影響を取り除くことは難しく、特に深い黒が一度入ってしまうと戻すのは不可能に近いという、不可逆的な性質を持つと考えることは何ら不思…